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不動産を使った相続税節税の方法は?ポイントや注意点をやさしく解説

小田 雅也

筆者 小田 雅也

不動産キャリア30年

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不動産を相続した際、「相続税がどれくらいかかるのだろう」「節税する方法はないのか」と不安になる方は多いものです。いざというとき、どのような節税策があるのかを知っていると、将来の備えに大きな差が生まれます。この記事では、不動産を活用した相続税の基本的な節税方法から具体的な手法、注意すべきリスク、手続きを進める上でのポイントまで、分かりやすくまとめました。難しい専門用語も丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

不動産を活用した相続税節税の基本的な仕組み

相続税の節税対策として、現金資産を不動産に組み替えることが有効です。これは、現金は額面通り相続税評価額になりますが、不動産は土地が路線価・倍率方式で評価され、建物は固定資産税評価額で評価されるため、評価額が低くなるからです。例えば、時価1億円の土地は路線価によって7割程に、建物は固定資産税評価額が建築費の約6~7割となる場合があり、全体として相続税評価額を大幅に圧縮できます。

さらに、賃貸用不動産にすることで、評価額をさらに圧縮できます。具体的には、土地では「貸家建付地」または「貸宅地」に対する評価減の仕組みがあり、例えば「貸家建付地」では自用地評価額に対して、借地権割合・借家権割合・賃貸割合の掛け合わせ分を減額して評価します。建物では、固定資産税評価額から借家権割合が差し引かれ、貸家にすることで評価が下がります。

また、不動産取得時に借入金を利用すると、相続時に債務控除としてマイナス評価できる点も節税につながります。たとえば、評価額が高い不動産を借入で購入した場合、その分借入残高を相続財産から控除でき、評価額をさらに圧縮する効果があります。

以下に、これらの基本仕組みを整理した表をご用意しました。

仕組み 具体的な効果 ポイント
現金→不動産への組替 不動産の評価額が現金より低くなる 土地:時価の約70~80%、建物:約60~70%
賃貸用にする 土地・建物とも評価がさらに下がる 土地は貸家建付地評価、建物は借家権控除
借入金の活用 相続時に借入残高を控除可能 債務控除で評価額を圧縮できる

不動産を使った具体的な節税手法の選択肢

不動産を活用した相続税の節税方法には、いくつかの具体的な選択肢があります。それぞれの特徴や仕組みを以下の表に整理しました。

節税手法 概要 節税メリット
賃貸アパート・一棟マンション 土地と建物を賃貸収益用にし、評価額を下げる。 貸家建付地評価の適用により、土地評価額を圧縮できます。
ワンルーム・タワーマンション ワンルームや高層部のタワーマンションを選び、評価差を活用。 エリアや構造に応じ評価額に差が出る物件を選ぶことで節税効果があります。
小規模宅地等の特例 一定条件下で、宅地評価額を大きく減額。 自宅用宅地は最大80%、貸付用宅地は50%の評価減が可能です。

以下、それぞれの手法について詳しくご説明いたします。

賃貸アパート・一棟マンションによる節税効果の概要
賃貸用に土地と建物を運用することで、「貸家建付地」として相続税評価額が下がります。評価は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」という計算式で求められます。借家権割合は全国一律で30パーセントとされています。たとえば満室で賃貸割合が100%の場合、評価が大きく圧縮されます。なお空室であっても、一時的な空室は賃貸割合に含めて評価減が認められるケースもあります。なお、貸家建付地として評価が認められるには、実際に賃貸借契約に基づき運用されていることが重要です。
(「貸家建付地の評価」制度に基づく計算ルール)

ワンルームマンションやタワーマンションによる評価額の差を活かす方法
ワンルームマンションや高層階のタワーマンションを活用すると、同じ場所でも用途・構造などに応じて評価額に差が生じます。特に都市部で、利回りや市場評価が低めの物件を選ぶと評価額そのものが抑えられるため、節税効果が期待できます。ただし、この手法は物件の所在地や構造、地域の評価基準による判断が重要であり、専門的な評価の見極めが必要です。

小規模宅地等の特例を使った土地の評価額減額の仕組み
小規模宅地等の特例とは、相続税の土地評価額を大幅に引き下げる制度です。「特定居住用宅地等」では最大330平方メートルまで80パーセント減額、「貸付事業用宅地等」では最大200平方メートルまで50パーセント減額されます。たとえば賃貸用の宅地(貸付事業用)にこの特例を適用した場合には、敷地面積が200平方メートル以内ならば評価額を半分にできるため、相続税が大きく軽くなります。適用には厳格な要件があるため、必ず専門家の確認が必要です。

制度や評価方法に関する注意点とリスク

以下では、不動産を活用した相続税対策における注意点やリスクについて、信頼できる情報に基づいてわかりやすく解説いたします。

リスクの種類 内容 留意点
過度な節税が否定される可能性 相続直前に多額の借入をして不動産を購入し、評価額を大幅に下げた場合、税務署が評価額を否認し追徴課税となることがあります。 「通達による評価額」が著しく時価と乖離していると判断されると、例外的に鑑定評価額が適用されることがあります。
投資リスク(空室・資産価値の低下など) 賃貸収入が見込めない空室や、地価・建物価値の下落によって、節税目的の投資が逆効果になる場合があります。 安定した賃貸経営や資産価値の把握が不可欠です。
制度変更や法改正による見直し 政府や税制調査会による規制強化、評価方法の修正、相続登記の義務化など、制度面の変更によって想定外の負担が増す可能性があります。 最新の法令や制度改正への対応が必要です。

それぞれについて、以下に内容を詳しくご説明いたします。

まず第一に、過度な節税が否定されるケースについてです。最高裁の判例では、高齢者が多額の借入で賃貸マンションを購入し、相続税評価額を大幅に抑えて申告したところ、税務署が「著しく不適当」と判断し、鑑定評価額での再評価を適法と認定して追徴課税が認められました。このように、通達評価だけを盲信した節税対策は判例によって否認されるリスクがあります。税務リスクを防ぐために、節税目的のみでの資産組み換えには慎重さが求められます。

また、賃貸経営に伴う投資リスクにも注意が必要です。空室になり賃料収入が途絶えると、節税効果を上回る経費負担が発生する場合があります。また、地価や築年数の経過によって資産価値が下がるおそれもあります。これらのリスクを避けるには、適切な賃貸需要の見極めや、資産価値の維持策を検討することが重要です。

最後に、制度や評価方法の変更といった将来的なリスクにも注目です。たとえば、相続登記の義務化、空き家に対する固定資産税特例の見直し、AIによる税務調査の導入などにより、放置や見落としがあると不利益を被る可能性があります。さらに、タワーマンションをはじめとした不動産評価の見直しが進んでおり、従来の節税効果が薄まるケースもあります。こうした動きに応じて、制度変更に対して柔軟に対応することが重要です。

実際に取り組む際の進め方と専門家活用

はじめに、相続税の対象になるかどうかを確認するには、まず「基礎控除額」を計算することが重要です。基礎控除額は「三千万円+六百万円×法定相続人の数」で算出され、これを相続財産の総額から差し引いて、申告や納税が必要かどうかを判断します。例えば、相続人が三人の場合、基礎控除は四千八百万円となり、それを下回る場合、そもそも相続税はかかりません。ですが、小規模宅地等の特例や配偶者控除などを使う場合には、申告が必要になることもありますので注意が必要です 。

次に、各種評価額や節税効果を数字でイメージできるようにするためには、シミュレーションを行うことが有効です。不動産評価は、土地であれば「路線価方式」や「倍率方式」、建物であれば「固定資産税評価額×1」の方法で算出されます。また、貸家建付地や借地権などの活用で評価額を圧縮できる場合もあります 。

実際のシミュレーションを行うための目安として、以下のような表を作成して、評価対象ごとに整理すると理解しやすくなります。

項目評価方法の概要節税ポイント
基礎控除額三千万円+六百万円×法定相続人数相続税申告の対象か否かの判断基準になる
不動産評価土地:路線価方式または倍率方式、建物:固定資産税評価額×1貸家建付地等で評価額が下がる可能性あり
特例・控除小規模宅地等の特例、配偶者控除など適用すれば課税価格を大幅に圧縮可能

最後に、進め方のポイントとして、税理士や不動産の専門家に相談することをおすすめします。相続税の計算には複雑な制度の知識や税務の専門性が必要であり、土地の評価や各種特例の適用要件の判断には経験がものをいいます。申告ミスや過剰な節税を狙って不正確な評価をすると、追徴課税や税務調査のリスクを招くこともあるため、早い段階から専門家に相談し、進行を伴走してもらうことで安心して進められます 。

まとめ

不動産を活用した相続税対策は、専門知識がなくても基本的な仕組みや流れを理解することで、有利に進めることが可能です。現金資産を不動産に組み替えたり、賃貸物件を活用したりすることで評価額を抑える方法は一般的ですが、節税には注意点やリスクも伴います。制度の変更や投資リスクなども事前に確認し、焦らず一つ一つ進めることが大切です。迷ったときや不安な点は、専門家の力を借りて、安心して一歩を踏み出していきましょう。

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